今回のオリンピックで日本が獲得したメダルの数は銀3、銅2の計5個。他に入賞した種目も増え、金1個に終わった前回のトリノ大会の反省から派遣選手の数を絞った成果はあったと言えるのではないだろうか。(前回同様、選手の数より役員の数が多いのがどうも引っ掛かるのだが…。)特にフィギュアスケートは出場した全選手が入賞を果たし層の厚さを世界に見せ付け、女子スビードスケートも全種目入賞と健闘した。一方、雪上競技は、女子モーグルの上村選手や女子クロスカントリーの石田選手、ジャンプの葛西選手などが入賞したものの全体的には世界との距離の隔たりの大きさを見せ付けられる結果となった。
日本のウィンタースポーツの多くは競技環境が厳しい。今回好成績を収めた種目は企業やスポンサーの手厚い支援の下、海外の指導者に師事したり海外遠征で各国の有力選手と相対する機会が多い等、恵まれていると言える。一方で、費用を捻出する為に選手自らが奔走しなければならないケースもある。スキークロスの滝沢選手は借金までして費用を捻出したとか…。華やかな舞台に出る一方で、そこまでしないと世界と戦えない現場の大変さが窺い知れる。
トリノ大会の時はメダルの数が1個と低調な成績だった事もあって、国が率先してスポーツ強化に乗り出すべきと声を発する政治家がいたが、4年経った今も企業頼み、スポンサー頼みの現状は変わっていない。概ね満足行く成績と言う風潮の中で果たして前回と同じような事を主張する政治家はいるだろうか。経済は冷え込み企業スポーツが先細る中で今後、国が動く事はあるのだろうか。メダル獲得の余韻に浸りきっていると、結局何も変わらないまま或いは競技間格差がますます広がる状態で4年後を迎える事になるだろう。
国会内では、「スポーツ基本法」を提出すべく準備を進めているようだ。昨年、一度提出したものの解散総選挙のあおりを受けてご破算になり、来年の通常国会に再提出すべく準備をすすめているらしい。この法律が施行される事によってどこまで選手が恩恵を受けるのか分からないが、早期の成立を望みたい。
さて、選手の方に目を向けてみると、メダルを獲得しながら悔しさを滲ませたフィギュアスケートの浅田選手やスピードスケートの加藤選手には次のソチ五輪で是非、表彰台のてっぺんに上って欲しいと思う。
他にもスピードスケートの高木選手や男子モーグルの遠藤選手など次の世代を担う若手も出て来た。他国の事を言ってもしょうがないのだが、お隣り韓国のメダリストの殆どが10代後半から20代前半である事を考えるとまだ足りない気がする。この後の4年間で若手がどんどん出て来て経験者を刺激するような環境が整えば、ソチ五輪で更なる活躍が期待出来ると思う。
今回悔しさを味わい現役を続ける選手、新しい選手が4年後どんな姿を見せるのか。2014年のソチ五輪を楽しみに待ちたい。
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