3勝3敗で迎えた大一番。千葉ロッテは5回、押し出し四球や今江選手のタイムリーヒットなどで一挙4点を奪うと8回に大松選手が試合を決める2ランホームランを放ち差を広げた。先発の成瀬投手はソフトバンク打線を4安打に抑え、第1戦に続いて完投した。
シーズン3位のチームが日本シリーズに進出するのは史上初。5年ぶり6回目の日本シリーズ進出を果たした千葉ロッテ。セ・リーグチャンピオンを相手に30日から始まる日本シリーズで天下獲りに挑む。
【パ・リーグCSファイナルステージ第6戦試合結果】
ロッテ 0 0 0 0 4 0 0 3 0 7
ソフトバンク 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
(通算成績:千葉ロッテ4勝3敗 千葉ロッテが日本シリーズ進出。)
<コメント>
今シーズンのパ・リーグを振り返るべく、レギュラーシーズンの順位表を確認した。優勝したのはソフトバンク。しかし最下位の楽天を除いてさほどゲーム差は開いておらず、きっかけ一つで順位が変わる可能性もあった。きっかけと言えば、ソフトバンク優勝の大きなターニングポイントとなったのが、9月後半の西武との3連戦。そこで3連勝して一気に頂点に上りつめた。そして迎えたクライマックスシリーズ。個人的には西武×ソフトバンクのリベンジマッチと言うのが最も相応しいシナリオだと思っていた。しかし野球の神様は、優勝争いの傍らでシーズン終盤、明日なき戦いを続け、このシリーズに参戦してきた千葉ロッテに救いの手を差し延べ、そしてパ・リーグの頂点へと導いた。
負けてもともとの戦いをし続け勢いを増幅させたロッテと、シーズン優勝&悲願の日本シリーズ進出、そしてこのステージも早々と王手をかけながら中々ゴールテープを切れず、次第にプレッシャーが重くのしかかって来たソフトバンク。結果が出たから言えるのかも知れないが、失う物が何もなかったロッテが勝ったのはある意味必然だったのかも知れない。それは先発投手の出来にも表れていたように思う。
エース対決となったこの試合。互いに好投を続け前半は投手戦。またしても終盤に試合が動く、痺れる展開になる様相を呈していた。しかし、舞台から先に降りたのは杉内投手。上に書いたようにのしかかるプレッシャーに耐え切れなかったのだろうか。5回に死四球を連発し自らリズムを崩してマウンドを去った。一方のロッテ成瀬投手は、初体験の2回連続中4日で疲れ具合を心配する周囲をよそに試合の後半も好投を続け、総力戦を想定して準備をしていたであろうブルペン陣の助けを借りる事なく投げ切り、エースの責任を果たした。それにしても、一発の打てるバッターが7、8番を打ち、その次はここ一番に強い里崎選手が控え、チーム柱である西岡選手に返る打線。相手投手にとって、これほど気のを休まらない打線はないだろう。どこかで火が点くと手が付けられない、まさに短期決戦に適した打線と言える。
一方のソフトバンクはもまたしてもクライマックスシリーズの壁を乗り越える事は出来なかった。選手はシーズンで出来た事が出来ないもどかしさを感じながら戦ったことだろう。やはり相手の出鼻をくじくべくエースを立てながら初戦を落とした事が最後まで響いた。第2、3戦に勝って先に王手をかけたものの、ステージを通して打線が機能せず、流れを寄せ切れなかった。終盤はチームの勝利に貢献してきた中継ぎ陣が打たれ万策尽きた。選手起用がことごとく嵌まったロッテとは対照的な光景だった。
試合後、秋山監督は試合間隔が空いた事が影響したと語っていた。現行制度で今後も行われるのであれば、例えアドバンテージがあるとは言え、レギュラーシーズン優勝のチームが越えなければならない大きな壁となる。クライマックシリーズで敗れはしたが、長丁場のペナントレースを制したのはソフトバンクである事は間違いない。その点は賞賛されるべきである。だからこそ、ペナントを獲得しながら、パ・リーグ代表として日本シリーズに出る事が出来ないのは、チーム関係者、ファンにとって余計に複雑な心境だろう。この悔しさをバネに来年こそは真のチャンピオンになれるよう頑張って欲しい。
思えば22年前のこの日。激しい優勝争いをする西武、近鉄の引立て役でしかなかったロッテ。その時選手として内野を守っていた西村現監督。監督としてチームをまとめ、下から這い上がって迎えた「10・19」。千葉ロッテがついに脇役から主役の座を射止めた。

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