東洋大から27秒差の2位で復路を迎えた早稲田大学は6区山下りで高野選手がトップに立つと、その後も各選手堅実な走りを見せ追いすがる東洋大を振り切り、先頭でゴールテープを切った。
一方、3連覇を狙った東洋大は5区柏原選手が稼いだリードを守り切る事が出来ず、最終10区で20秒差に迫ったものの及ばなかった。
また熾烈なシード権争いは予選会を突破して本大会に出場した東海大、拓殖大、国学院大がシード権を獲得した一方で、山梨学院大、東京農大がシード権を失った。
【第87回箱根駅伝最終成績】
1 早稲田大学 10時間59分51秒=総合新(往路2位 復路1位)
2 東洋大学 11時間00分12秒=総合新(往路1位 復路2位)
3 駒澤大学 11時間03分53秒(往路5位 復路3位)
4 東海大学 11時間08分12秒(往路3位 復路8位)
5 明治大学 11時間08分24秒(往路4位 復路7位)
6 中央大学 11時間11分24秒(往路8位 復路6位)
7 拓殖大学 11時間11分28秒(往路9位 復路4位)
8 日本体育大学 11時間13分19秒(往路10位 復路10位)
9 青山学院大学 11時間13分20秒(往路16位 復路5位)
10 國學院大學 11時間13分23秒(往路6位: 復路13位)
以上、次回大会のシード権獲得。太字は予選会から参加した大学
11 城西大学 11時間13分26秒(往路7位 復路12位)
12 山梨学院大学 11時間13分50秒(往路13位 復路9位)
13 帝京大学 11時間14分21秒(往路12位 復路11位)
14 東京農業大学 11時間15分43秒(往路11位 復路15位)
15 神奈川大学 11時間16分37秒(往路15位 復路14位)
16 中央学院大学 11時間19分00秒(往路18位 復路16位)
17 専修大学 11時間21分05秒(往路14位 復路19位)
18 関東学連選抜 11時間21分17秒(往路19位 復路17位)
19 上武大学 11時間25分11秒(往路20位 復路18位)
20 日本大学 11時間28分00秒(往路17位 復路20位)
<コメント>
ここ数年各校の戦力が接近し、どこが優勝或いは上位に入ってもおかしくない状況が続いている学生3大駅伝の最後を飾る箱根駅伝。それを物語るように今大会も予選から厳しい戦いが続き、順天堂大、大東大と言った優勝経験のある大学が予選を通過する事が出来なかった。更に大学駅伝で長らく伝統校として名を馳せた日大が最下位に終わる等、昔の名前で勝てる時代は終わったと言えるだろう。
そんな中で今シーズンの出雲駅伝、全日本大学駅伝を制し3冠の期待が懸かった早稲田大と、「山の神」を擁しこの大会3連覇を目指す東洋大の戦いに注目が集まったが主力選手を怪我で欠きながら出場した選手全員が堅実な走りを見せた早稲田大学が優勝し、古豪復活を果たすと共に3冠を達成する快挙を成し遂げた。
早稲田大の勝因はルーキーの大迫選手の1区で快走もあると思うが、各区間トップで襷を繋いだ中で、やはりこれまで弱いとされて来た箱根の山で最上級生がチームを鼓舞するような走りを見せた事に尽きるのではないだろうか。5区猪俣選手は、「山の神」東洋大の柏原選手に抜かれはしたが、離される事無く付いて行き、約30秒差で復路の選手にバトンタッチし、今日行われた復路では高野選手が途中転倒するアクシデントに見舞われながら、トップを奪い襷を繋ぐ快走を見せた。3年生以下に有力な選手が多かったが、最上級生の頑張りがあったからこそ今回の優勝がもたらされたのではないかと思う。
早大の優勝は18年ぶり。18年前と言えば現監督の渡辺氏がスーパールーキーとして鳴り物入りで入学し、鮮烈な箱根デビューを飾った年で、この大会を制したのはそれ以来の事である。指揮官として母校に戻り、シード圏内に入れない時期もあり指導方針が正しいのか苦悩した事もあったようである。今シーズンは全てのタイトルを獲得しながら、箱根を制するまではと胴上げを拒んで来た。箱根に懸ける強い思いが成就し感慨ひとしおと言った所だろう。
上にも書いた通り有力な選手が残る早稲田大。来シーズン、同じく下級生が残る駒沢大、3連覇を逃しリベンジに強い執念を見せるであろう東洋大等、強力なライバルが包囲網を敷く中で果たしてどんな戦いを見せるのだろうか。
今大会は優勝争いも去る事ながらシード権争いも熾烈だった。その中7位に入った拓殖大は、亜細亜大で箱根を制した岡田監督就任1年目で結果を残した。次回大会、もしかしたら台風の目になるかも知れない。
この他では、テレビ中継を見ていると各ランナーの出身高校が表示されるが「長野・佐久長聖高校」と言う文字を多く目にした事が印象的だった。高校駅伝としては既に強豪として名の知れた高校でありこれまでも有望な選手を輩出している。各大学に入っても選手が順調に伸びていると言えるのだろうか。どのような指導を受けているのか興味がある。
かくして87回目の正月の風物詩は、古豪復活と熾烈なシード権争いと言う2つのドラマを生み出し幕を閉じた。来年はどの大学或いは選手がどんなドラマを生み出すのか注目したい。

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