レースは三浦騎手騎乗のトーセンジョーダンがペースを握り、2〜3番手辺りを追走したヴィクトワールピサ最後の直線でいち早く抜け出し先頭に立つと、後方から迫るブエナビスタをハナ差かわした。
勝ったヴィクトワールピサ騎乗のM・デムーロ騎手は2週連続のGT制覇で、有馬記念は初めての優勝となった。2着のブエナビスタは賞金を加算しJRA史上11頭目の10億円ホースとなった。また有馬記念史上初めて1着から3着を外国人ジョッキーが独占。外国人ジョッキーが活躍した今年のGTレースだが、それを象徴するような結果となった。
【第55回有馬記念競走成績】
1着 〇ヴィクトワールピサ デムーロ 2分32秒6
2着 ◎ブエナビスタ スミヨン
3着 トゥザグローリー ウィリア
4着 ペルーサ 安藤勝己
5着 △トーセンジョーダン 三浦皇成
<コメント>
当時JRAのCMキャラクターだった木村拓哉が「90年代最後のレース・・・一発派手にかまそうぜ!!」と歌っていた1999年。粘るグラスワンダーと、後ろから追い駆けたスペシャルウィークとの壮絶なゴール前での叩き合いが繰り広げられた12月26日のグランプリレース。
そして時は流れ2010年のグランプリレース。奇しくも同じ12月26日に、敗れた父の無念を晴らすべくこのレースのタイトル獲得を目指したブエナビスタ。勝ったヴィクトワールピサがグラスワンダー産駒だったらまさに「ドラマ」である。
例年になく豪華なメンバーが揃った今年の有馬記念。まず今年のGTレースは各馬ゴール後、青いランプがやたらと点いて審議となるケースが多かった。しかし10万人以上のファンが見つめる中で行われたこのレースは審議とならず綺麗な形で終わった事は良かったと思う。
勝ったヴィクトワールピサは引き当てた最内枠を最大限活用して勝利を収めたと言えるだろう。スタート良く飛び出すと2〜3番手で追走。終始内ラチ沿い進む経済コースへと馬を導いたM・デムーロ騎手の好騎乗も光った。レベルが高い3歳勢だがその代表格とも言える同馬が古馬相手に皐月賞に続く2つ目のGTタイトルを獲得した。来年以降、どんな活躍を見せてくれるのか楽しみである。
そして前走のジャパンカップで勝負に勝ってレースに負けたブエナビスタが降着の雪辱を期すべく、圧倒的1番人気でこのレースに臨んだ。逃げ馬不在となったレースは、トーセンジョーダンがスローペースで先行し、ブエナビスタは中団から後方でチャンスをうかがった。結果的には先行した馬が上位に残ったが、その中でメンバー最速の上がり3F33秒台の豪脚で後ろから猛然と突っ込んできた。しかし前を行くヴィクトワールピサを捕らえる事は出来ず僅かハナ差で届かなかった。
レース後、スミヨン騎手が語っていたように道中の位置取りと遅いペース、そして中山の短い直線を考えると今回の結果は致し方無かったのかも知れない。現役最強馬の強さは見せたが、中山2,500mのトリッキーなコースは味方しなかった。
1999年、父スペシャルウィークが繰り広げた激闘の舞台。その娘も同じ舞台で激闘を繰り広げた。しかし歴史は繰り返されるのだろうか。父同様、僅かの差で敗れその無念を晴らす事は出来なった。
過去様々なドラマが生まれた冬のグランプリレース。来年はどんなドラマが生まれるのだろうか。今年1年競馬ファンを楽しませて来た各馬、それに携わった騎手、スタッフの労をねぎらい、来年また楽しませてくれる事を期待したい。
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