原技術委員長はこれまでの交渉でギリシャ1部リーグのオリンピアコス監督に就任したバルベルデ氏と、スペイン1部リーグのレアル・マドリード前監督ペジェグリニ氏に断られたことを明かした上で、複数の候補者から最終回答を待っている現状を説明した。
また、2012年ロンドン五輪出場を目指すチームは、日本代表コーチを務める日本人指導者が率いるとの考えを示した。
<コメント>
W杯南アフリカ大会でベスト16入りし次に期待が持てる結果となった事もあり、「ポスト岡田」が誰になるのか注目されたサッカー日本代表。岡田監督が退任した時は、お盆を過ぎた頃に新監督、代表メンバーも決まり、パラグアイとのリベンジマッチの舞台が整うだろう、と思っていたサポーターは多かった。まさか、新生○○ジャパンの船出が迫ったこの時期になっても船長が決まらない事態になるとは・・・。
回答待ちの候補者がいるとは言え、最終的にどのように決着するのか見通しが立たないこの段階で述べるのは適切ではないのかも知れないが、ここまで長引くと外国人監督ありきで始まった今回の監督の選考は最初から無理があったような気さえする。
歴代の外国人監督は、短命に終わったファルカン氏や、W杯日韓大会の時に指揮を執ったトルシエ氏を除けば、日本のクラブに何らかの形で関わった経験を有した人物である。トルシエ氏にしても名古屋を指揮したベンゲル氏の推薦があり就任している。
今回の事態は、日本がW杯で目覚ましい躍進を遂げたとは言え、サッカー界の中心であるヨーロッパから見れば日本はまだまだ僻地であり、W杯での成績はあくまでサプライズの一つだったに過ぎないと言う印象を持たれていると事を改めて浮き彫りにしたと言える。日本に縁もゆかりもないヨーロッパ出身の指導者が年単位となるであろう長い期間、中心から外れる事はかなり勇気がいる事であり万が一、失敗すればキャリアに大きな傷が付くと受け取られているのだろう。
W杯ブラジル大会までは4年あるが、9月の2試合の後もテストマッチが組まれ、来年はアジア杯、ブラジル大会予選と代表のスケジュールもびっしりと組まれている。他国の代表は既に次の目標に向けて始動している。
理想を追い求める事、それに適う監督を選ぶ事は確かに重要だ。そう言う点では、交渉の手法に問題はあったにしろ、原技術委員長のこだわる姿勢は評価出来る。しかし時間が限られている以上、どこかで一旦区切りを付けなければならないのも事実だろう。これ以上進展が見込めないのであれば、当面はアジア各国が相手と言う事を考え、時間の掛かる大物釣りよりも、まずは選手を熟知しているJクラブ指導経験者に任せると言う手があっても良いような気がする。代表の体制が決まらないと影響を受けるのは、Jリーグ、ナビスコ杯、天皇杯とタイトなスケジュールをこなす中、選手を送り出すクラブであり、何より選手自身である。選手、クラブ、協会に軋轢が生じるような事態だけは避けるよう(既に協会に不信感を抱いているクラブもあるようだが)、協会が危機感を持って対応して欲しい。

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