グループFでは、前回大会優勝のイタリアはニュージーランド相手に先制点を許す苦しい展開を強いられた。前半29分にイアキンタ選手がP.Kを決めて同点に追い付くと、その後も怒涛の攻撃でニュージーランドゴールを襲ったが、ゴール前を固めた相手ディフェンスを崩し切れず、1−1の引き分けに終わった。イタリアは2試合連続のドロー。一方、ニュージーランドはスロバキア戦に続いて勝ち点を獲得した。
この他グループGではブラジルがコートジボワールを3−1で下しグループリーグ突破を決めた。ポルトガルは7−0の大差で北朝鮮を下しグループリーグ突破に大きく前進した。
グループHではスペインが2−0でホンジュラスを、とチリがスイスの高い壁を崩し1−0でそれぞれ下した。一方、前回大会から続いていたスイスの連続無失点試合は「5」でストップした。
W杯グループリーグは22日から最終節が行われ、25日に決勝トーナメントに進む16カ国が出揃う。
【グループルーグ結果(20日、21日分)】
◎グループF
イタリア 1−1 ニュージーランド
パラグアイ 2−0 スロバキア
◎グループG
ブラジル 3−1 コートジボワール
ポルトガル 7−0 北朝鮮
◎グループH
スペイン 2−0 ホンジュラス
チ リ 1−0 スイス
【グループF順位表】
1パラグアイ 4(得失点差 +2 総得点3)
2イタリア 2(得失点差 0 総得点2)
3ニュージーランド 2(得失点差 0 総得点2)
4スロバキア 1(得失点差 −2 総得点1)
最終節の組合せはパラグアイ×ニュージーランド、イタリア×スロバキア。現在首位のパラグアイがグループリーグ敗退となる条件は、自身がニュージーランドに敗れ、イタリアが勝った場合。これまでの試合内容やニュージーランドとの力関係を考えると、上記が当てはまるとは考えにくい。決勝トーナメント進出はほぼ当確と言って良いだろう。
残る1枠はどうなるか分からない。決勝トーナメント進出への選択肢が多いイタリアが有利ではあるが、勝ち切れないこれまでの試合ぶりを見るとスロバキアにも突け入るスキは十分ありそうだ。相手チームに研究されているのかどうか分からないがイタリアの2失点は何れも、これまで閂(かんぬき)の番人として君臨したカンナバロ選手が絡んでいる。スロバキアもそこを突くのか注目される。
ちなみに2試合とも同じスコアで引き分けだった場合、ニュージーランとイタリアとの間でくじ引きによって残り1枠が決まる、非情なシナリオが用意されている事も付け加えておく。
【グループG順位表】
1ブラジル 6(得失点差+3 総得点5)
2ポルトガル 4(得失点差+7 総得点7)
3コートジボワール 1(得失点差−2 総得点1)
4北朝鮮 0(得失点差−8 総得点1)
ブラジルの決勝トーナメント進出と北朝鮮のグループリーグ敗退が既に決まっている。
残り1枠はポルトガルとコートジボアールとの争いとなるが、北朝鮮戦で大量点を挙げたポルトガルが有利。コートジボアールはドログバ選手ら攻撃陣の大爆発とブラジルの大勝利を信じるしかない状況となっている。
【グループH順位表】
1チ リ 6(得失点差+2 総得点2)
2スペイン 3(得失点差+1 総得点2)
3スイス 3(得失点差 0 総得点1)
4ホンジュラス 0(得失点差−3 総得点0)
現在トップのチリと2位スペイン、スイスとホンジュラスがそれぞれ最終節で対戦する。引き分けでも決勝トーナメント進出が決まるチリだが、攻撃大好きのビエルサ監督が守りに入る戦術を選択するとは思えない。一方、これまでの相手が守備一辺倒でフラストレーションが溜まっているスペインにとっても望む所だろう。共にブラジルの影がちらつく両チームにとって1位突破が目標となる事を考えると、グループリーグでは数少ない或いは、唯一の点を取り合うゲームになるかも知れない。
しかしそんな展開になる時に限って、いつの間にか3位のスイスが1枠を確保していると言うシナリオになるものである。グループHの各国のチームスタッフは携帯電話等、通信機器が手放せない最終節となるだろう。
<コメント>
南アフリカ各地で熱戦が繰り広げられているW杯も全64試合のの内、32試合が終わり折り返し地点を迎えた。22日からグループリーグ最終節が始まり、次のステージに進む16ヵ国(オランダとブラジルは進出決定済み)と、不本意ながら南アフリカを去る16ヵ国(北朝鮮とカメルーンは敗退が決まっている)とに仕分けられる。
ここまでの戦いぶりを見ると、南米勢の好調ぶりと欧州のサッカー強国の不振と言う構図が浮かび上がる。地元アフリカ勢も目立つような活躍をしていないが、選手の大半がヨーロッパのクラブで活躍している事を考えるとここに含まれるだろうか。)
南米勢は既にブラジルが決勝トーナメント進出を決めており、他の4ヵ国も今のところグループトップに位置しており、出場国全てがベスト16に残りそうな勢いである。
ブラジルやアルゼンチンは別格だが、他の3ヵ国も攻撃陣に有能なタレントがおり、実力通りの活躍を見せている。「モウリーニョシンドローム」と言うべきか、守備重視と言われる今大会において、チリの攻撃的なサッカーは良い意味で異質であると言え、退屈な試合が多かった中で観ている人々の心を引き付けている。また、今回は高地での試合について話題になる事が多いが、南米予選で南アフリカよりも標高の高い所で戦っている事が、経験が少なく付け焼き刃的な対策で挑んでいる他の国と比べて有利に働いているような気もする。
これに対して欧州のサッカー強国で既にグループリーグ突破を決めているのは、攻撃サッカーを標榜するオランダのみ。他のシード国は当落線上で喘いでいる。かつてW杯でこんな事があっただろうか。特に前回優勝のイタリアとイングランドに至っては未だに勝利なしと事態は深刻でありチーム内の不協和音も聞こえて来ている。
今大会のテレビ中継で「ブロック」と言うフレーズをよく耳にするが敵陣にブロックを作られては、さすがの強国も攻め手を欠き苦しむと言った所か。特にパスで相手を崩すチームは、相手が前に出てこないのだから辛い。そう言った意味では大会直前に守備重視に舵を切った岡田ジャパンは、流れにうまく乗ったと言えるだろう。
さて仕分けの作業が粛々と、グループによってはドラマチックに展開される1週間。どのチームが生き残るのだろうか。

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