前半から高さとフィジカルの強さを前面に押し出すオーストラリアのパワープレーに苦しんだ日本だったがこれを何とかしのいで延長戦に。そして相手に疲れが見えた延長後半、長友選手が上げたクロスから途中出場の李選手が強烈なボレーシュートを叩き込み先制すると、その後のオーストラリアの攻撃をかわした。
一方、終始試合の主導権を握っていたオーストラリアだったが、日本のゴールネットを揺らす事は出来ず、一瞬の判断ミスから失点し初のアジアチャンピオンのタイトルを獲得する事は出来なかった。
アジアチャンピオンの座を奪還した日本代表は、3月の親善試合を経て7月に行わる南米選手権に招待国として挑む。
【アジアカップ決勝試合結果】
日 本 1−0 オーストラリア
(得点者)
延後3分 李
<コメント>
苦しみながらも決勝まで勝ち進み、アジアチャンピオンの座が大きく見えて来たザックジャパン。アジアカップ最後の相手は、今大会参加した国の中では最も世界の匂いを漂わせているオーストラリア。この試合も、シンプルではあるが高さを駆使した破壊力ある相手の攻撃に苦しみ、何度もピンチを迎えた。しかしGK川島選手が好セーブを連発してこれをしのぐと、2試合続けてP.K戦かと誰もが思った延長後半に待望の先制ゴールが生まれた。
この試合のポイントは、諸氏が語っている通り高さのあるDF岩政選手を投入し長友選手のポジションを上げた事だろう。韓国戦の試合終了直前にディフェンスの最終ラインが下がってしまった反省からか、4バックは維持したままディフェンスの壁を高くして、運動量のある長友選手を攻撃的なポジションに上げた事で、オーストラリアはより正確なフィードを供給する事とそれまで以上に左サイドをケアする必要に迫られた。疲れがピークに達するであろう時間帯にこれらをこなすのは、いかにヨーロッパで揉まれた選手が多いと言えども厳しい。事実、李選手がゴールを決めたシーンでオーストラリアのディフェンス陣は人数は揃っていたが、長友選手を気にするあまり彼の側に寄ってしまった。李選手のボレーは素晴らしかったが、一瞬の判断ミスで有利に進めていた試合を失ってしまう事をオーストラリアが教えてくれた、とも言える。
この大会を通じて登録選手23人の内、ピッチに立ったのは21人。過去の公式戦と比べても多い部類に入ると思うが、特筆すべきは途中出場した選手の多くがゴールを決めた事である。ザッケローニ監督は就任後、縦へボールを運ぶ意識付けは徹底させたがそれ以外は今まで日本がやって来たサッカーをベースにチーム作りを進めて来た。戦術面より目立ったのが頻繁にJリーグの試合を視察する等、選手を探り、そして自ら足を運んで選んだ選手を知り、気遣いを見せるシーンや言動が垣間見えた事。今後はどうか分からないが、今回は控えの選手にもチャンスを与えた。その期待に応えた選手との信頼関係はかなり深まったと思われる。イタリアでは既に過去の人と評された中で就任した日本代表監督。そんな評価を下した人々を見返しもうひと花咲かそうと言う心を持っているであろう同監督の就任は日本にとって、これまでの所は吉と出ているような気がする。
準備が十分とは言えない中で、開催国とアジアのライバルを撃破しての優勝は価値があると思うが、同時に今大会では守備面を中心に課題も見えた。決勝は無失点だったが、その他の試合では意思疎通の不足から失点するシーンが多々見えた事も忘れてはならない。世界と戦う上ではまだまだ足りない、とコメントしている選手が多くいる事から、アジアを制圧した余韻に浸っている選手はいないだろう。7月には招待されている南米選手権が控えている。現時点で日本が世界のどの位置にいるのかを測るには、そして今回浮き彫りとなった課題がどれだけクリアされているのかを見るにはまたとない機会である。
世界を見据える選手と目の肥えた地元イタリアの人々を見返す心を持つ指揮官。この後、航路図にどんな足跡を残すのか。世界に針路を取りはじめたザックジャパンに注目して行きたい。

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