レースはシンゲンが引っ張る展開となり、最後の直線で粘るヴィクトワールピサをかわした1番人気のブエナビスタが1位入線となったが審議となった。長い審議の結果、最後の直線でブエナビスタが内に斜行してローズキングダムの走行を妨害したと言う裁定が下され2着に降着。ゴール前でヴィクトワールピサをハナ差でかわして2位に入線していたローズキングダムが繰り上がって1着となった。
【第30回ジャパンカップ競走成績】
1着 〇ローズキングダム 武 豊 2分25秒2
2着 ◎ブエナビスタ スミヨン (1位降着)
3着 ヴィクトワールピサ ギュイヨ
4着 △ジャガーメイル ムーア
5着 ▲ ペルーサ 安藤勝己
<コメント>
昨日(27日)掲載した予想記事で、ブエナビスタの不安材料として「順調すぎる所に思わぬ落とし穴が潜んでいる。」と書いた。節目の30回目を迎え、今年府中の森で行われるビックレースはこれが最後となるその華やかな舞台で、誰が「降着」と言うシナリオが用意されている事を想像出来ただろうか。それにしても審議の対象となった箇所の多い(確か3箇所ぐらいあったと思う)レースだった。
パドックや返し馬では威風堂々と言う言葉がピッタリ当て嵌まるような落ち着きを見せていたブエナビスタ。レースでも天皇賞同様、他馬を寄せ付けない見事な脚で坂を駆け上がり、前を行くヴィクトワールピサをあっさりかわして、6つ目のGTタイトルを獲得したかに見えた。その豪脚にファンも酔いしれた。しかしレースは審議となり30分近く掛かった審議の結果、下された裁定は走行進路妨害により2着降着となると言うものだった。その瞬間、6つ目のGTタイトルは手からスルリと逃げ、秋のGTレース3連勝と言う陣営の野望も消え去った。
テレビで前を行こうとしたローズキングダムが挟まれるシーンが何度も映し出され審議が長く続いた事で、時間が経つにつれそのような裁定が下されるかも知れないとは思っていた。天皇賞で圧勝し好スタートと切って迎えた秋2戦目。その後の調整も順調に進み、舞台は末脚を生かせる広い東京コース、そしておあつらえ向きのレース展開。事が全てがうまく運んだように思えたが、まさに好事魔多し。陣営が、そしてファンが望むような結果だけがついて来なかった。この馬の強さを見る事は出来ただけに残念である。
そして繰り上がる形で優勝が転がり込んで来たローズキングダム。連続GT勝利記録を更新した武豊騎手や関係者は複雑な心境だと思うがバラ一族にとって悲願のGTタイトル獲得となった。ブエナビスタに先着を許した事は確かだが、これからと言う所で不利を受けながら盛り返してヴィクトワールピサを最後の最後でかわした勝負根性はさすがである。今年の3歳世代はレベルが高いと言われているが、3着に粘ったヴィクトワールピサ共々それを証明した格好となった。(ただし最後の直線での一件はヴィクトワールピサの走行にも原因があり、その点はいただけないが・・・。)
思わぬ形で明暗が分かれる結果となった両馬。再び相まみえるであろう暮れに行われるグランプリレースではどんなシナリオが用意されているのか。今度こそスッキリした形で決着がつく事を期待したい。


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