ザッケローニ氏は代表監督の経験はないものの、セリエAの名門ACミラン、インテル、ユベントスなどを指揮した経験を持ち、ミランを率いた1998−99シーズンにはセリエA優勝も果たしている。
【ザッケローニ氏の略歴】
◎ウディネーゼ(1995年〜1998年)
ビアホフ(当時ドイツ代表)、アモローゾ(同ブラジル代表)らを擁し一地方クラブをリーグ3位に導き、翌シーズンからACミランの監督に就任した。
◎ACミラン(1998年〜2001年)
就任して最初のシーズンに、ビアホフ、ボバン(当時クロアチア穂代表)らを擁しスクデット獲得。しかし、翌シーズン出場したチャンピオンズリーグで1次リーグで敗退。国内リーグも3位に転落した。その後、3−4−3システムを持論とするザッケローニ氏に対し、4バックを採用するよう指示したACミラン会長ベルルスコーニ氏との間に対立が生じ、2000−2001シーズンの途中で解任された。
◎SSラツィオ(2001年〜2002年)
2001−2002シーズン途中から指揮を執った。ミラン時代とは違い4バックにも対応するなど柔軟な采配を見せたものの、国内リーグ6位と結果を残す事が出来ず、シーズン終了後に解任された。
◎インテル(2003年〜2004年)
2003-2004シーズンの途中から指揮を執った。国内リーグ4位と翌シーズンのチャンピオンズリーグ出場権を獲得したが、フロントの信頼を勝ち取る事までには至らず、シーズン終了後に辞任した。
◎トリノFC(2006年〜2007年)
2年のブランクを経て監督に就任。当時、W杯ドイツ大会日本代表だった大黒選手が在籍していた。躍進を期待されたが、下位に低迷しシーズン途中で解任となった。
◎ユベントス(2010年)
3年のブランクの後、2009-2010シーズン途中より監督に就任した。沈滞していたチーム状態を浮上させる事を期待されたが、結果的には失敗し国内リーグ7位に終わった。チャンピオンズリーグ出場権を逃し退団することになった。
<コメント>
混迷を極めたサッカー日本代表次期監督問題。スペイン人の大物指導者の名前が浮かんでは消え、最後も契約合意に達したのがペケルマン氏なのかザッケローニ氏なのか、スポーツ紙によって見出しが分かれたが、最終的にはイタリアの名将、ザッケローニ氏が次期日本代表監督に就任すると言う事で決着した。
これまで名前が挙がったのが殆どがスペイン出身の指導者だっただけに、結果を聞いて意外な気がした。先日、代表発表の会見に出席した原技術委員長の疲労に満ちた表情が外国人指導者を招聘する事の難しさを物語っており、日本が南アフリカ大会でベスト16に進出したとは言えまだ世界から、特にヨーロッパからは、まだ「サッカー発展途上国」と認識されていると言う事を改めて思い知らされた。
上に書いたようにザッケローニ氏は、これまでの日本代表監督と比べても申し分ない経歴の持ち主である事は確かだ。これまでの選考過程を見ると決して本命ではなかったのかも知れないが、イタリアでは異質と言える、ザッケローニ氏が標榜する攻撃的なサッカーは2014年W杯ブラジル大会に向けてそれを目指す代表のコンセプトとも合致し、当時世界最高峰と称されたセリエAで弱小クラブを3位に導いた手腕も評価されたのだろう。9月4日、7日に行われる再出発となる親善試合にベンチには座らないものの、お披露目が出来ると言う事で協会側としては一応、格好を付けた形となった。
しかし輝かしい経歴がある一方で、これまでの外国人監督と違い日本を含めてアジアに余り精通していない事、契約期間が短い事(2年プラスオプション2年と言う話が本当ならば)、ACミランを退いてからは、これと言った実績を残していない事(イタリアでは既に「過去の名将」と言われているらしい)等、不安材料も無い訳ではない。特に契約期間が事実だとすると、最初の2年はアジア各国が相手であるケースが多くなるが果たして対応出来るのか。オプション2年のイニシアチブが協会側にもし無いのだとすると、同氏が残した産物を生かせないまま、違う指揮官でW杯ブラジル大会を迎える可能性もある。日本が世界で戦う為に、ザッケローニ氏がどのような「武器=(戦術)」を引っ提げ、サポーターに見せてくれるのか。まずは明日(31日)の就任会見でどのような事を語るのか。興味を持って聞いてみたい。
何はともあれ次期日本代表の指揮官はようやく決まった。これからアジアへ、そして世界へ向けて「ザッケローニジャパン号」の航海が始まる。

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