オランダの警告覚悟の激しいディフェンスに手を焼いたスペインだったが、延長後半11分にイニエスタ選手が放ったシュートがゴールネットを揺らし、そのまま逃げ切った。
一方、3度目の決勝進出となったオランダだったが、悲願の世界一のタイトルは手に届かなかった。
次回のW杯は2014年ブラジルで行われる。南米での開催は1978年のアルゼンチン大会以来、36年ぶりで南半球での2大会連続開催は初めての事となる。
【W杯決勝結果】
スペイン 1−0 オランダ
(得点者)
延後半11分 イニエスタ(西)
<コメント>
対戦相手のディフェンスに苦しみながらも勝ち進み、大会終盤にようやく「らしさ」を取り戻したヨーロッパチャンピオン、スペインと勝ち抜く為に美しいサッカーを捨て、現実的なサッカーで決勝にコマを進めたオタンダとの一戦は、P.K戦の匂い漂う延長後半にイニエスタ選手のゴールでスペインが均衡を破り、そのまま逃げ切った。これまで世界一のタイトルに手が届きそうで届かなかった無敵艦隊は、ついに「無敵」の称号を獲得した。
今回のスペイン代表の多くはバルセロナに所属している選手である。バルセロナと言えば、W杯前に行われたヨーロッパチャンピオンズリーグ準決勝で「現実主義」のモウリーニョ監督率いるインテルに持ち味のパスワークを封殺されヨーロッパクラブチャンピオンのタイトルを逃した苦い経験を持つ。その影響なのか堅守速攻が今大会の主流となり、特にグループリーグではファンを魅了するサッカーを見る事が少なかった。W杯を境にその後の戦術のトレンドか決まると言われるが、スペインがパスサッカーを貫き通し頂点に立った事は見ている側にとっては良かったのかも知れない。
世界一の懸かる度決勝戦。独特な雰囲気の中、相手の激しいディフェンスに苦しみながらも試合の主導権を握り華麗なパスワークで何度もオランダゴールを襲った。結果的に最小得点での決着となったが、慎重になる傾向にある最近のW杯決勝と比べると見応えのある内容だったと思う。ただ、願わくばもう少しクリーンな試合が見たかったと言う思いがあったのも確かであり、その点を考えると3位決定戦の方が見ていてスカッとした気分になっただろうか。
ヨーロッパを制し、世界を制した無敵艦隊。長らく越えられなかった山を越えた事で2年後、4年後も主役となり得る存在となるだろう。果たして今後どんなチームになり、新しい選手が出てくるのか楽しみである。
【勝ちにこだわり、「パーフェクト」でここまで来たが…】
トータルフットボール。往年の名プレーヤー、クライフ氏が提唱した戦術の名称であり、オランダサッカーの代名詞となっている。諸説あるが、ポジションにとらわれず流動的な動きで相手の布陣を崩すと言うのが一般的定義で、プレッシングサッカーもそこから派生したものである。ピッチの端から端までを使い流れるような攻撃が、これまでのオランダのサッカー だった。今大会も前線にタレントが揃い攻撃的なチームではあったが、これまでのチームとはどこか違うような気がした。先行し、試合を優位に進めると中盤で守備ブロックを築く手堅いサッカーを各試合でしていた。ファンマルバイク監督が事ある毎に語っていたが、とにかく勝ちたいと言うのがオランダ代表の共通認識であり、サポーターからも概ね受け入れられているようだった。その通り予選、本大会と引き分けすらないパーフェクトな成績を残して決勝の舞台にコマを進めた。そして久々に巡って来た世界No1獲得のチャンス。スペインのパスワークを分断すべく、警告覚悟の激しいディフェンスで挑んだ。醜いサッカーでも良いから勝ちたい、と言う意識を前面に押し出した
しかし、三度世界一の称号を得る事は出来なかった。決定的なチャンスも何度かあったが、スペインのゴールを割る事は出来ず、警告覚悟のディフェンスが裏目に出て退場者を出した直後に失点した。W杯の神様が、イエローカードを乱発するオランダに下した罰のようにも思えた。最後の最後で負ける事の惨めさを知ったオランダ。この後どんなサッカーを志向するのだろうか。
ブブゼラ、ジャブラニ、最後はタコの予言まで飛び出したW杯南アフリカ大会は幕を閉じた。2014年のブラジル大会でどんなチームや選手が主役を担うのか。そして世界から振り向いてもらえる位置に戻った日本は、世界と比較してどのような位置で4年後を迎えるのか。
その時が来るのを楽しみに待ちたい。
【日本の成績は9位】
国際サッカー連盟(FIFA)の小倉純二理事は13日、W杯南アフリカ大会で日本は参加32チーム中9位になることを明らかにした。今月末にもFIFAから正式に発表される。
同日に南アから帰国した小倉理事によると、5位以下の順位は、準々決勝敗退4チーム、1回戦敗退8チーム、1次リーグ敗退16チームそれぞれの中で、1次リーグからの勝ち点の合計で決める。日本は勝ち点7(PK戦で敗退したパラグアイ戦は引き分け扱い)で、決勝トーナメント(T)1回戦で敗退した8チームの中では最高になるため、9位になるという。同じく決勝T1回戦で敗退した韓国は勝ち点4で15位になる。
1次リーグで敗退した2006年ドイツ大会では28位。小倉理事は「日本の戦いぶりは世界でも高く評価されていた。アウェーの大会でのベスト10入りは誇らしい」とし、「現在45位のFIFAランクもかなり上がるだろう」と話した。

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