注目の一戦となったオランダ×ブラジルは、前半10分にロビーニョ選手がゴールで先制点を奪ったブラジルがその後も試合を優位に進め前半を終えた。しかし後半8分に相手のオウンゴールで同点に追い付いたオランダが息を吹き返すと、後半23分にスナイデル選手が決勝点を決めて逆転し「王国」ブラジルを下した。一方のブラジルは前回のドイツ大会に続く準々決勝敗退。王国の威信を取り戻す事は出来なかった。
もう1試合、ウルグアイ×ガーナは、後半10分フォルラン選手のFKで追い付いたウルグアイがその後のガーナの猛攻を凌ぎ切った。延長でも決着しない激闘の試合はP.K戦にもつれ込み、ウルグアイがガーナを下し40年ぶりにベスト4に進出した。一方、ガーナの敗退によりアフリカ勢は姿を消した。
【準々決勝試合結果(2日分)】
オランダ 2−1 ブラジル
ウルグアイ 1−1 ガーナ
(P.K4−2)
<コメント>
W杯南アフリカ大会もいよいよ佳境に入った。日本を応援する為のW杯は終わってしまったが、これからが「本当の戦い」となる。2日行われた準々決勝2試合は、まさに国の誇りを賭けたと言っても過言ではない試合内容だった。
まずはブラジル×オランダ。今大会のブラジルは、それまでの華麗な個人技を駆使するのではなく、守備からカウンターと言う規律を重視するドゥンガ監督の性格を表すようなサッカーで南アフリカに乗り込みここまで勝ち進んで来た。
一方、スナイデル、ロッベン、ファンペルシー選手と言った前線の選手が中心の、ブラジルとは対照的に攻撃的なサッカーを志向するオランダ。
前半先制したブラジルがその後も試合を優位に進めた。オランダのW杯初優勝の野望はこのステージで潰えるかと思われた。
ところがオランダが同点に追い付いた辺りから試合の風向きが大きく変わった。それまで、一糸乱れぬ規律を堅持していたブラジルに乱れが生じた。息を吹き返したオランダ攻撃陣を食い止める事が出来ず逆転を許すと、焦りからか強引なプレーが目立ちオランダのゴールネットを揺らす事は出来なかった。1990年大会以降、開催地がヨーロッパ以外の大会では必ずW杯を手にしていたサッカー王国。ヨーロッパの強豪国が次々と敗退する中、安定した戦いぶりを見せていたが思わぬ所で脆さを露呈し、前回のドイツ大会に続いてベスト8で姿を消した。自国での開催となる2014年に失った威信を取り戻す事は果たして出来るのだろうか。
一方王国を下し、悲願のW杯初優勝に一歩前進したオランダ。攻撃サッカーに欠かせないロッベン選手も復帰し役者は揃った。堅守速攻がトレンドとなっている今回のW杯。攻撃を主体とする独自のスタイルでこの後どこまで勝ち進むだろうか。
そしてウルグアイ×ガーナ。注目度はブラジル×オランダよりも落ちるが、それと遜色ない見応えのある試合だった。特に延長に入ってからは、まさにこれがW杯と言う攻防だった。延長終了間際、一気呵成に攻撃を仕掛けるガーナと、それを凌ぐウルグアイ。そして延長終了間際のP.Kのシーン。目が離せない展開が続いた。終了間際に得たP.Kを外したガーナのギャン選手だがP.K戦の最初に出てきて決めた精神力はさすが、と思ったが、その後出て来た選手がウルグアイのG.Kムスレラ選手に止められ勝利の女神はガーナに微笑まなかった。
一方、40年ぶりにベスト4にコマを進めた古豪ウルグアイ。完全アウエーの中での戦いを強いられたが、色んな意味で「上手かった」のは南米特有のメンタリティがもたらしたものだろうか。
ブラジル敗退で南米勢の勢いもここまでかと思われたが、古豪ウルグアイが勝ち残った。準々決勝の残り2試合も、あっと言わせるドラマが起きそうな予感がする。

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