一方、史上初のベスト8進出の期待が懸かった日本代表はパラグアイと対戦し、延長戦を含めて120分で決着が付かず、もP.K戦の末、惜しくも敗れた。
南米勢×欧州など他地区の対戦となる準々決勝。ベスト4を南米勢が独占する可能性もある戦いは7月2日、3日(現地時間)に行われる。
【日本×パラグアイ 試合結果】
パラグアイ 0−0 日 本
(P.K5−3)
【準々決勝組合せ】
◎7月2日
ウルグアイ(A組1位)×ガーナ(D組2位)
オランダ(E組1位)×ブラジル(G組1位)
◎7月3日
アルゼンチン(B組1位)×ドイツ(D組2位)
パラグアイ(F組1位)×スペイン(H組1位)
<コメント>
日本×パラグアイ戦が行われたロフタス・バースフェルド競技場は、約100年前に出来た南アフリカで最も古いサッカースタジアムである。コンクリート造りのその競技場は、真新しさはないものの重厚感があり、長年アパルトヘイトで苦しんだこの国にもサッカーが根付いていた事がうかがい知れた。
その伝統ある競技場で行われた、共に初のベスト8を懸けての戦い。最後は幸運がパラグアイにもたらされ、勝って世界を驚かすと言う岡田ジャパンの野望は、残念ながら達成されなかった。
この大会で得た収穫と、今後日本が世界で勝ち抜く為にクリアしなければならない課題が凝縮された内容だったと思う。
互いにチームカラーが似ている事もあり、試合は終始重苦しい雰囲気に包まれた。そんな中、この大会で世界基準の国と対戦しても通用する事を示したディフェンスはこの試合でも概ね機能していた。後半はあわや、と言うシーンもあったが組織が大きく乱れる事はなかった。
それに対してデンマーク戦で積極的な姿勢が見えた攻撃は、決勝トーナメントの重圧からかあまりそれが見られなかった。グループリーグであれば90分が終わった時点で勝ち点1が貰えるが、白黒付けなければならないこのステージでは、積極的に攻撃する事がどれだけ大事なのかを改めて痛感させられる事となった。
シュート数等のデータが示す通り、個々の技量の差はあったにせよ、チームとしての差は余りなかった。結果的に120分の戦いで優劣が付かなかった試合で、どちらが「優」でどちらが「劣」だったのかは言いづらいが、現実にはパラグアイが次のステージに進み、日本が南アフリカを後にする事となった。両者の差を敢えて挙げるとするならば、W杯で何度もグループリーグを突破し、南米予選でブラジルやアルゼンチン等の強豪国に揉まれた「経験」から得たであろう試合運びの手堅さ、したたかさと、銃弾に倒れたチームメートに対する思いを持つパラグアイが、日本代表の「勝ってもう1試合戦いたい」と言う思いを上回ったと言う事になるだろうか。そこに運も巡って来たのかも知れない。
最後に、岡田監督は試合の終盤阿部選手を下げて、この大会で本来採用するはずだった(したかった)布陣で点を取りに行ったが、次の代表では中心的な存在になるであろう森本選手を1トップに、本田選手を本来のポジションに戻す布陣を見たかったと個人的には思っている。フランスW杯本大会最後の試合で当時「日本のワンダーボーイ」と言われ将来を嘱望された小野選手を送り出したように、次の大会での日本代表の将来像を見たかった。膠着した展開では起用しづらかったのかも知れないがギャンブルで始まった今大会。最後、そこに賭けてみるのも手だったような気がする。
4試合を戦って2勝2敗で4得点2失点。世界に衝撃を与えた「SAMURAI BLUE」の戦いは幕を閉じた。4年後のブラジル大会では、今度こそ勝ち続けて世界を驚かせる「SAMURAI BLUE」を見たいものである。

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