日本は前半7分、CKから闘莉王選手のゴールで先制すると動きに精彩を欠くイングランドを速いパス回しで揺さぶった。しかし追加点を奪う事は出来ず前半を終えると、後半はジェラード選手など主力選手を投入したイングランドに徐々に押されるシーンが目立ち始め、後半27分と38分、相手のクロスからO.Gを献上して逆転を許した。
日本代表は6月4日、コートジボワールとW杯前最後の強化試合を行い南アフリカ入りする。
【試合結果】
日 本 1−2 イングランド
(得点者)
前 7分 闘莉王(日本)
後27分 O.G(イングランド)
後38分 O.G(イングランド)
<コメント>
先月行われた壮行試合の韓国戦で不甲斐ない結果に終わりサポーターに失望感を与えた岡田ジャパン。チームがどん底の中で迎えた強化試合のイングランド戦。スイス合宿でどこまで立て直しがなされ、また世界の強国にどこまで通用するのか。と、同時にルーニー選手、ランパード選手と言った世界の一流プレーヤーがどんな動きをするのか注目が集まった。
結果は1ー2。スコアを見れば日本は健闘したと言えるだろう。先日の韓国戦と比べて選手の動きは良かったし、ワンタッチでパスを回す意識も見えた。イングランドの選手の動きが緩慢だったとは言え中盤の構成を、阿部選手を底に置く逆三角形にした事でディフェンスも機能していた。選手にとっては自信を取り戻すきっかけとなる試合になっただろう。何と言っても相手選手にゴールを許さなかったのだから・・・。
この結果にマスコミは概ね好評価、サポーターも少しは希望を抱ける心境になったと思う。
しかしこの雰囲気、どこかで感じたような覚えがある。4年前、同じようにW杯直前に行われたの強化試合でドイツと引き分け、期待が高まったものの、結局本番では勝ち点1を取るのがやっとだった事で、日本各地からため息が漏れたあの感覚。確かに選手はアグレッシブに動いていたし連係も良かった。しかし今までが悪すぎたから良く見えただけなのか。そんな思いが頭を過ぎった。これはあくまで強化試合であって本番ではない。手放しで喜ぶのはまだ早いような気がする。
前半は上に書いた通りチームとして機能していた部分が多かったが、相手が主力選手を投入した後半は運動量が落ちた事もあり押し込まれるシーンが多く見られた。ラインも下がり、プレスを掛ける事も出来なくなった。(イングランドのカペッロ監督は「あのシステムは9−0−1だ。」と皮肉ってたらしい。)オウンゴールで失った2点もその手前のサイドで止めていれば防ぐ事が出来た失点である。前半のような動きが90分通して出来ないと言う、以前から言われている課題が露呈した試合でもあった。
グループリーグで対戦する各国には強力なサイドアタッカーやストライカーがいる。運動量が落ちる後半に持ちこたえられるのか不安が残った。取り敢えずディフェンスが崩壊したここ数試合の悪い状態から脱し、グループリーグで「格好のつく試合」が出来る態勢になりつつある、と見た方が良いのかも知れない。
グループリーグ突破を考えると最低1つは勝たなければならない。得点を挙げたセットプレーは相手の虚を突くナイスアイデアだったが、昨日のイングランドの出来ならば、動きの良かった前半の内に流れからもう1点取って欲しかった。
日本の武器であるセットプレーで相手を欺くアイデアがどれくらいあるか。速いパス回しからどうやって点を取るのか。そして90分通して同じパフォーマンスを維持出来るか。4日に行われるコートジボアール戦でそれらを発揮する事が出来て、初めて明るい展望が見えて来るような気がする。
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